2011年03月22日

福島原発で今何が起きているのか




枝野長官が原発の会見をする際、

最初のうち明らかに、

「放射線」

「放射能」

「放射性物質」

の違いをよく理解せずに会見していたのは一目瞭然でしたが(苦笑、

一般国民が専門知識がないのは当然のことですよね。



まず今、

「何が起きていて、何が危険なのか」

を正確に知る必要があります。

多分、誤解をしている人が多いと思うので、

この機会に僕が分かる範囲で説明しときますね。





まず今、福島原発で起きていることは恐らく「核分裂」ではありません。

もちろん小さな核分裂反応は起きている可能性は高いですが、

原発を動かす莫大なエネルギーである「臨界」は地震直後には止まっている。

臨界とは、

核分裂反応が次々と連鎖的に起きる状態のことで、

この反応速度を制御出来なくなると、

チェルノブイリ事故の様に加速度的に反応が早くなり、

爆発に至る可能性があります。

今、原子炉で起きているのは、

原発が運転していた時に、

核分裂反応で作られた核分裂主成物が熱を発している、

という問題です。

核分裂したウランやプルトニウムは、

もっと軽い別の物質に分かれます。

「核が分裂する」とはそういう意味です。

この生成物も放射性物質ですが、

そのままの状態ではいません。

再び別の物質に変化し、

さらに……(忘れた 苦笑)という反応を繰り返し、

最終的に放射性を持たない物質になって反応は終わります。



この一連の反応を「ベータ崩壊」と言うんですが、

その際に「ベータ線」という放射線が出ます。



ちなみにその過程で現れる生成物は数百種類あります。



そしてその反応の際に大量に熱が出ます。

これが「崩壊熱」で、

今、福島原発の原子炉を熱くしている正体は“これ”です。



このベータ崩壊は多くの熱を発するんですが、

いずれは自然に収束します。

その最終段階に至る時間ですが、

一部は長い年月をかけて進む反応もありますが、

多くは数日で急速に発熱量が減ります。

だから仮に放置しても崩壊熱は、

数日単位で収まっていきます。



ではなぜ慌てて冷やす必要があるのかと言いますと、

当たり前ですが、

放射性物質を原子炉の外に拡散させないためです。

崩壊熱は巨大です。



今回、

福島原発で空焚きになった燃料棒は、

2700度以上に達したと見られており、

なぜそれが分かるかというと、

その温度にならないと溶けない被覆菅が溶けたので、

これだけの熱があれば、

鋼鉄製の圧力容器を溶かします。

すなわち炉心溶融、

メルトダウンを起こす危険があるのです。

鉄の融点は1500度くらいなので。



なので仮に核分裂が止まっていても、

崩壊熱によって原子炉が壊れ、

すでにベータ崩壊の過程で大量に発生している放射性物質、

反応で生じる放射線が外部に漏れ出す恐れがある、

という訳です。



ちなみに細胞を破壊するなどして人体に影響を与えるのは、

「放射線」であり、

物質がその放射線を出す能力を「放射能」、

その放射能をもつ物質を「放射性物質」と言います。



一般的に使われる「放射能が漏れる」と言うのは、

少し問題ある表現で、

正確には、

「放射能を持つ放射性物質が漏れる」

という表現になります。



原子炉の穴などから直接、

「放射線が漏れる」

ということも重大な問題ですが……。





分かりやすく説明するとこんな感じなのですが、

分かりやすかったでしょうか?



何にしろ大変な事が起きてるんです。









Posted by 小橋川大介 at 21:07